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ドローンによる水生生物調査が可能となる環境DNA調査法を確立しました

(2017年10月25日 掲載)

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創成科学研究科工学系学域社会建設工学分野 赤松良久准教授らの研究チームは、新たに環境DNA採水用のドローンシステムを開発し、ドローンでの採水により、環境DNA分析から魚類をターゲットにして生物調査を行う手法を開発しました。

これまで、水域での生物調査は、多大な時間や労力がかかり高コストであることが課題でした。湖沼・河川などの水環境中には、生物のフンや表皮などから溶け出たDNA断片(環境DNA)が存在しています。

 赤松准教授らが開発した手法を用い、ダム湖において、ドローンによる表面水の採水を行ったところ、採水したサンプルから環境DNAを取り出し、ブルーギル、オオクチバスに特異的なDNAを測定することができました。また、環境DNA分析では、サンプルの間での混入(別のサンプルから少量の水が混入する)が問題となりますが、その対策として、採水のたびにDNAを除去できるように、取り外してDNAの除染を可能とする新たな採水システムを開発しました。

 ダム湖において平成28年11月と12月の2回、複数地点において試行したところ、いずれにおいても対象となるブルーギル、オオクチバスについて環境DNAが検出され、また、サンプルの間の混入についても詳細にテストを行いましたが、いずれの場合も検出されず、混入が起きていないことを確認しました。

 本研究結果は、ドローンによる採水によって環境DNAを用いた魚類など水生生物調査が、従来の調査手法よりはるかに簡便に行えることを示唆しています。また流れの速い(1.5 m /s)河川においても採水が安全に行えることを確認しており、湖沼だけでなく、河川、海域での調査にも利用できます。さらに、ドローンを使うことで、調査者が水域に直接入る必要がなく、作業者の安全が確保され、水域での調査の安全性を大幅に高める可能性があります。

この研究成果は10月18日『Limnology and Oceanography: Methods』に掲載されました。

(DOI: 10.1002/lom3.10214)

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