トピックス

カーボンナノチューブを有機色素で染めて使う新しい光触媒技術を開発

(2018年3月27日 掲載)

山口大学大学院創成科学研究科の三宅秀明助教と岡山大学大学院環境生命科学研究科の高口豊准教授、田嶋智之講師、村上範武大学院生らの共同研究グループは、カーボンナノチューブの内部空間に色素分子を封じ込めることで、光照射下において、色素増感水分解反応による水素製造が可能になることを世界で初めて確認しました。また、通常の光触媒では利用困難な赤色光(波長650 nm)照射下で水分解水素生成反応の活性を比較したところ、染色したカーボンナノチューブ光触媒の量子収率(1.4%)は、色素分子をもたないカーボンナノチューブ光触媒の量子収率(0.011%)に比べて、活性が120倍になることも確認されました。

これは、カーボンナノチューブを有機色素で染めることで、カーボンナノチューブ光触媒の活性波長が制御できることを示しています。これまでに例のない活性波長制御法として、太陽光と光触媒を利用した水分解によるCO2フリー水素製造法(人工光合成)の鍵技術となることで、本学が取り組んでいる国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に貢献することが期待されます。

この研究成果は『Journal of American Chemical Society』(IF=13.858 )に3月5日付でオンライン掲載されました(doi:10.1021/jacs.7b12845)

研究の詳細はこちらをご覧ください。