物質工学系専攻

「知識社会」において、「知のリーダー」である博士には、専門的な研究ばかりでなく、イノベーションも期待されています。また、材料・デバイス開発においては、ナノ・テクノロジーなどの新しい技術に基づく挑戦的な分野が多く、開発スピードを上げるため、計算科学の利用が重要視されてきています。特に、地球環境に配慮したエコ・マテリアル、デバイスの開発や、高度情報化社会を支える新材料・デバイスの創出が望まれています。これらの背景から、物理系、化学系の深い専門性を有する一方、それらの分野を横断的に教育し、幅広い知識を身に付けることができる教育・研究を行います。

修了後の進路

高等教育機関教員、化学・電機・素材メーカーの研究開発部門、材料・デバイス開発の開発プロジェクトを統括するマネージャーなど

履修コース

                            
応用物理系コース
Applied Physics Course
工学系

本コースは、物理・化学などの基礎科学を基盤においた物質工学系専攻の中で、半導体材料、磁性材料、熱電変換材料、超伝導材料等の物理系の材料分野の研究開発を行っています。エネルギー、デバイス、エレクトロニクス等の産業分野での社会貢献が期待されています。以下本コースで取り組んでいる研究内容を3つに分類して紹介します。

  • 新しい物質やデバイスの創成に関する研究 スピントロニクス材料および微細加工を用いた磁性デバイス応用に関する研究、新しい高効率熱電変換材料の開発研究、Ⅲ族窒化物半導体を使った光半導体デバイスのエピタキシャル成長やデバイス作製技術に関する研究、磁性材料・磁気デバイス・高密度情報記録技術の研究、化合物半導体を使った量子デバイスの設計・実装・評価技術とそのアプリケーションに関する研究、光・放射線損傷欠陥の物質および有機/無機複合結晶の形成に関する研究、真空の科学と工学・低ガス放出な真空材料の探索とそれを用いた先端デバイス製造用真空装置の開発に関する研究、超伝導体への人工的なピン止めの導入と制御に関する研究
  • 新しい物質等の物性研究 イオン性プラズマの基礎物性と応用、半導体低次元量子構造における高密度励起子系の光物性に関する研究、非晶質半導体新材料の作製とその光学的性質の研究
  • 計算機科学を駆使した新しい電子材料の探索 電子構造手法を用いた熱電変換材料などの材料物性の理論的研究、第一原理分子動力学シミュレーションによる物性研究、非線形現象の統計物理的研究(階層構造の観点からのアプローチ)
応用化学系コース
Applied Chemistry Course
工学系

本コースは、物理・化学などの基礎科学を基盤においた物質工学系専攻の中で、無機化学、物理化学、有機化学、高分子化学等の物質化学を基盤にした新しい概念に基づくエネルギー及び電子材料、セラミックスをはじめとする無機材料や触媒材料、優れた機能性を有する有機材料等の研究開発を行っています。電子材料、エネルギー、環境、新素材等の産業分野での社会貢献が期待されています。以下、本コースで取り組んでいる研究内容を4つに分類して示します。

  • 物質の合成に関する研究 有機エレクトロニクスデバイスに適用できる新規有機材料の開発、機能性単結晶の育成と評価やデバイスへの応用、有機ゲル化剤や液晶材料などの有機機能性材料の開発
  • 反応の設計と制御に関する研究 計算化学的および情報化学的手法を用いた合成経路開発、計算化学を用いた化学反応設計と新規機能性材料の開発、不斉反応の新方法論の開発と光学活性化合物の合成、新規高機能性触媒の開発
  • 物質の機能発現に関する研究 エネルギー・環境応用のための電極材料設計、高選択透過性分離膜、機能性高分子ゲルの開発と応用、電池や電解合成など電気化学過程を利用したデバイスやプロセスの開発、電気化学過程を利用した機能性材料の設計と開発、燃料電池や電解合成などの電気化学反応プロセスの開発
  • 高度な測定技術に関する研究 無機結晶材料の精密構造解析と結晶化学、機能性電解質溶液・ゲルの熱力学および構造化学と環境調和型材料への展開、高機能セラミックスの合成とスペクトロスコピー