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有機フッ素化合物を合成する簡便な手法を開発~医農薬分野への展開に期待~

(2022年1月 6日 掲載)

創成科学研究科工学系学域応用化学分野の川本拓治助教、川端崇裕さん(博士前期課程1年)、上村明男教授らの研究グループは、医農薬品において重要な官能基の一つであるトリフルオロメチル(CF3)基を特定の位置に導入する手法を新たに開発しました。例えば、ビニルトリフラートとアルケンから、ケトンのγ位にトリフルオロメチル基を有する化合物を簡便かつ効率的に合成できることを見いだしました。また、アリールアルキンとトリフルオロメタンスルホン酸(CF3SO3H)によるビニルトリフラートの合成、続くワンポットラジカル反応により効率的に合成できることを見いだしました。今回見いだした反応を複雑な化合物に応用することで、これまでにない新しい含フッ素化合物を合成できる可能性があります。

なお、本研究成果の詳細は、2021年12月17日にアメリカ化学会の学術誌「Organic Letters」で掲載されました。

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・今後の展開

得られた化合物の生物活性の評価を実施する予定です。また、本手法は特殊な実験操作を必要としないため、医農薬や機能性材料など様々な分野での応用が期待できます。

・謝辞

本研究の一部は日本学術振興会科学研究費若手研究、旭硝子財団、およびやまぎん地域企業助成基金、京都技術科学センター、日揮・実吉奨学会の助成を受けて実施しました。

論文名 Vicinal Difunctionalization of Alkenes Using Vinyl Triflates Leading to γ‐Trifluoromethylated Ketones
著者 Takuji Kawamoto, Kawabata Takahiro, Kohki Noguchi, and Akio Kamimura
掲載誌 Organic Letters
DOI https://doi.org/10.1021/acs.orglett.1c03988